施設ページに出てくる「届出」の項目は、診療報酬(医療の公定価格)の制度上の名称で、そのままでは分かりにくいものです。 ここでは透析の基本と各項目の意味を説明します。制度の内容は2026年度(令和8年度)診療報酬改定時点のものです。 届出の有無は体制の有無を示すもので、施設の良し悪しを表すものではありません。
働きが落ちた腎臓の代わりに、血液中の老廃物と余分な水分を機械で取り除く治療
腎臓の働きが大きく低下すると、体にたまる老廃物や水分を自力で出せなくなります。血液透析は、腕の血管(シャント)から血液を体の外に取り出し、ダイアライザーという器械で老廃物と水分を取り除いて体に戻す治療です。
一般的には週3回、1回あたり4時間前後を、通院して受けます。夜間や自宅で行う方法もあります。
患者・家族の見方:このサイトに載っているのは、この治療(診療報酬でいう「人工腎臓」)を行う体制を届け出ている医療機関です。
HDFは血液透析に「濾過」を加えた方法。オンラインHDFはその一種
血液透析(HD)は、血液と透析液の間で物質が移動する「拡散」を主に使って老廃物を取り除きます。血液透析濾過(HDF)は、これに加えて血液に圧力をかけて水分ごと老廃物を押し出し、その分を補充液で補う「濾過」を組み合わせます。
オンラインHDFは、補充液を透析液から作って大量に使う方法で、日本では広く行われています。分子の大きい老廃物を取り除きやすいとされています。
どちらが適しているかは患者の状態によって異なり、医師が判断します。
患者・家族の見方:施設ページの「オンラインHDF(慢性維持透析濾過加算)」は、この方法を行える体制を届け出ているかどうかを示しています。
医療機関が「この体制を整えている」と厚生局に届け出たもの。このサイトの元データ
医療機関が診療報酬(医療の公定価格)の一部を請求するには、人員や設備などの基準(施設基準)を満たし、地方厚生局に届け出る必要があります。厚生局はその一覧を毎月1日現在で公表しています。
このサイトは、その公表データから人工腎臓の届出がある医療機関を抜き出して作っています。「届出あり」は基準を満たす体制があること、「届出なし」はその項目を届け出ていないことを示します。
患者・家族の見方:届出の有無は体制の有無であって、治療の良し悪しではありません。届出をしていなくても、その治療自体は行っている場合があります。
その届出に基づいて診療報酬を請求し始めた日
施設ページに出ている「算定開始 2020-02-01」のような日付は、厚生局の名簿に載っている算定開始日です。その体制で診療報酬を請求し始めた日で、開院日や治療を始めた日とは限りません。
移転や法人変更、再届出で新しい日付になることがあります。
医療法で入院ベッド20床以上が病院、19床以下または無床が診療所
医療法では、入院用のベッドが20床以上ある医療機関を「病院」、19床以下(または入院設備なし)を「診療所」と呼びます。クリニック・医院は診療所の通称です。
このサイトでは名簿の病床数からこの区分を機械的に付けています。透析を専門に行う施設の多くは診療所です。
厚生局が医療機関ごとに付ける10桁の番号
都道府県2桁・種別1桁・7桁の番号からなる、保険医療機関ごとの識別番号です。名称が似ている施設や改称した施設を区別するため、このサイトはこの番号を施設の主キーにしています。
オンラインHDF(血液透析濾過)を行える体制
慢性維持透析濾過加算は、オンラインHDFを行ったときに人工腎臓に上乗せされる加算です。透析液の水質を一定の基準で管理していること(透析液水質確保加算の要件)が前提になります。
厚生局の名簿では「透析液水質確保加算及び慢性維持透析濾過加算」という1つの届出項目になっているため、このサイトでは2つの項目が同時に「あり」になります。
患者・家族の見方:HDとHDFのどちらが合うかは患者ごとに異なります。「血液透析(HD)と血液透析濾過(HDF)の違い」も参照してください。
透析液の水質を管理する体制
透析に使う水と透析液の細菌・エンドトキシン(細菌由来の発熱物質)を定期的に検査し、基準を満たすよう管理していることを評価する加算です。オンラインHDFを行うための前提でもあります。
名簿では慢性維持透析濾過加算と1つの項目にまとめられています。
透析を始める時期の患者への説明・指導の体制。区分は腎移植など腎代替療法の説明・実績の程度
透析を始めてから1か月の間、透析の種類(血液透析・腹膜透析)や腎移植を含めた治療の選択肢について、患者に説明・指導を行う体制を評価する加算です。
区分1〜3は、腹膜透析や腎移植に関する説明の体制と、実際の実績(腎移植の推進に関する実績など)によって分かれます。区分が大きいほど、腎代替療法全般について説明・実績の要件が多くなります。
患者・家族の見方:これから透析を始める人が、治療の選択肢の説明を受けられる体制があるかどうかの目安です。
透析患者の足の血流を定期的に評価し、必要なら専門の医療機関につなぐ体制
透析患者は足の血管が詰まる病気(末梢動脈疾患)を起こしやすく、進むと足の切断につながることがあります。この加算は、足の血流を定期的に検査し、リスクが高い患者を専門の医療機関に紹介する体制を評価するものです。
自宅で血液透析を行う患者への指導管理
自宅に透析装置を置いて、患者自身(と介助者)が血液透析を行う「在宅血液透析」について、指導と管理を行う医療機関が算定します。
この届出がある医療機関は、在宅血液透析の導入や管理に対応しています。
医療機関どうしの連携で腹膜透析を管理する体制(2026年度に新設された区分)
腹膜透析(お腹の中に透析液を入れて行う透析)の指導管理料のうち、2026年度改定で新設された区分です。中核となる医療機関が、かかりつけの医療機関と連携して腹膜透析の患者を管理する形を評価します。
腹膜透析の指導管理そのもの(区分1)は届出が不要なため、このサイトでは分かりません。「届出なし」は腹膜透析を行っていないという意味ではありません。
透析・腎移植などの治療選択について、説明や連携の体制を整えている
腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)について、患者が治療を選べるよう説明する体制や、腎移植を行う医療機関との連携などを整えていることを評価する加算です。
透析や腎移植の選び方を、腎臓の働きが落ちてきた段階で指導する
まだ透析を始めていない、腎臓の働きが落ちてきた患者に対して、腎代替療法の選択肢(血液透析・腹膜透析・腎移植)を説明し、患者の意思決定を支援する指導を評価するものです。
糖尿病の患者が透析に至らないよう、医師・看護師・管理栄養士のチームで指導する
糖尿病で腎臓の働きが落ちてきた患者(糖尿病性腎症)に対し、透析に進まないように医師・看護師・管理栄養士が連携して食事や生活の指導を行うことを評価するものです。
糖尿病以外の慢性腎臓病の患者が透析に至らないよう、チームで指導する
糖尿病以外の原因による慢性腎臓病(CKD)の患者に対し、透析に進まないように医師・看護師・管理栄養士が連携して指導を行うことを評価するものです。糖尿病透析予防指導管理料の対象外の患者向けです。
脳卒中などの後遺症に対するリハビリの体制。区分(Ⅰ〜Ⅲ)は人員・設備の要件の違い
脳卒中や脳の外傷、神経の病気による障害に対するリハビリを行う体制の届出です。区分Ⅰ〜Ⅲは配置している医師・療法士の人数や設備の基準の違いで、Ⅰが最も要件が多くなります。
骨折や関節の病気に対するリハビリの体制
骨折・関節の病気・手術後などの運動器の障害に対するリハビリを行う体制の届出です。区分Ⅰ〜Ⅲは人員・設備の基準の違いです。
肺炎や慢性の呼吸器の病気に対するリハビリの体制
肺炎・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・呼吸器の手術後などに対するリハビリを行う体制の届出です。
心筋梗塞や心不全などに対するリハビリの体制
心筋梗塞・狭心症・心不全・心臓の手術後などに対するリハビリを行う体制の届出です。
脳卒中や骨折のあと、集中的にリハビリを行う病棟がある
脳卒中や大腿骨の骨折などのあと、日常生活に戻るために集中的なリハビリを行う専門の病棟の届出です。区分は病棟の体制や実績による違いです。
患者・家族の見方:透析を受けながらリハビリ入院を検討するときの参考になります。受け入れの可否は病院にご確認ください。
食べる・飲み込む機能の回復に取り組む体制
飲み込みの機能(嚥下)が落ちた患者に対し、多職種のチームで食べる機能の回復に取り組む体制を評価するものです。